栗の木の話
昔、栗太郡に栗の大樹が一本生えていた。木の高さは雲を突き、木の周りは五百人が手をつなぐ大きさだった。
あまりの大きさのため、木陰では日が当たらず、作物が実らなかったため、人々の訴えで帝(みかど)は、武将の
掃守宿禰(かもりのすくね)を遣わして、この木を切ることにした。八分ばかり切ったところで、夜になり、明くる朝
来てみると、栗の木はもとのままになっていた。こんなことが何日も続いた。それは、蔓(つた)の精が栗の木の
傷口を、夜中に舐めて、治していたのである。宿禰は、さっそく蔓草を刈り払って、とうとう栗の木を切り倒すこと
に成功した。切られた栗の木は七日七夜焼かれ、その灰が灰塚山になったという。
(栗東市政策推進部広報課『栗東市地域資源活用ビジョン』より)










